理念
当団体の描く理想像
なぜ、この事業を始めようと思ったのか
救急現場では、受診前に〇〇を知ってもらっていれば、もっと早く受診してもらえたのにという場面があります。実感として、どんな高度医療よりも早く受診することの方が肝と考えています。
救急医療は、非常に重要な役割を担っている一方で、その原因に至るまでの経緯にアプローチしづらい立場にあります。以下のように、病気の原因(上流)から救急医療を要するところ(下流)に至るまでを、川の流れに例えた図があります。
McKinlay, J. (1979). A case for refocusing upstream:
the political economy of health.
本事業は中下流の、最下流で病院で受け止められる直前の人を岸から出す役割を担いたい
どうしても救急医療は下流で受け止めるだけの立場になりがちです。とめどなく流れてくるとパンクしてしまいます。公衆衛生の概念は、この図でいうと、流される人をなるべく減らすという考え方です。
新型コロナウイルス感染症がイメージしやすいので、例にとりますと、上流では3密回避行動+ワクチン接種、中流では濃厚接触者隔離や抗原検査、中下流で宿泊者施設入所、下流で入院ということになります。救急医療の現場では、できるだけ上流で対処できれば、受診しなくて済んだのにという思いが強くありました。
本事業は中下流の、最下流で病院で受け止められる直前の人を岸から出す役割を担いたいと考えています。そのまま岸で一休みできる人もいれば、流されて弱ってきたため病院にいかなければならない人もいるでしょう。しかし、早めに岸に上がれただけでも安心が提供できると考えています。