ウィズコロナ時代のセルフケア

昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、医療体制がひっ迫する状況が全国各地でたびたび生じてきました。COVID-19は普通のかぜ症状にとどまらず肺炎に至ってしまう特徴を持っており、この場合は医療機関での専門的治療を要します。


しかしかぜ症状(上気道炎)にとどまっているうちは、以前から人々が年平均3回程度罹患していたかぜと大差なく、基本的には対症療法のみで自然に軽快が見込めます。


ただ当事者にとってみれば頭が痛い、のどが痛い、寒気がする、といった不快な症状に加えコロナは死ぬかもしれない病気だという不安から病院で診てもらいたい……という思いにかられることも珍しくないでしょう。日常の発熱外来でも、特に若い方で不快症状および不安のために受診される方は多くいらっしゃいます。


純粋な医学的視点では大半の場合は肺炎に進展するリスクは低く医療機関受診の必要性はそれほど高くありませんが、人間そんなに強いものではないし、日本の医療はフリーアクセスが担保されていることもあり、受診を頭ごなしに非難するのはナンセンスでしょう。


これに対し厚労省、各行政、医療機関がさまざまな情報を出して住民の理解を求め、医療体制がパンクしないように受療行動の適正化を図っています。そのうちの1つに医薬品常備とセルフケアがあります。


COVID-19に関していえば軽症であれば発熱、頭痛、咽頭痛が主な症状ですが、これらはすべて解熱鎮痛薬で軽減が図れます。そして医療機関で処方される解熱鎮痛薬と同様の薬剤がドラッグストアでも購入ができるため、いつCOVID-19を発症してもいいように解熱鎮痛薬を備えておきましょうそうすれば受診せずとも同様の治療(対症療法)ができますよ、というメッセージが込められています。


これまでCOVID-19の話題をしてきましたが、これはその他の数多の疾患にも適用できます。


なんといっても「痛み」が不快かつ高頻度で、当団体に寄せられた相談でも約3割の方がなんらかの痛みを生じていました。解熱鎮痛薬は体の部位によらず大半の痛みを軽減する効果がありますので、やはり常備しておくに越したことはありません。そして不快な症状を緩和することは、同時に不安も緩和すると考えられ、「心配だから救急受診しないと」という衝動が収まるのではないかと思います。


痛み自体も不安によって増幅されるといわれていますが、この悪循環を断つという意味でも解熱鎮痛薬による症状緩和は大変重要だと思います。もうひとつ、私見ですが抗アレルギー薬も常備しておくと便利です。これも市販薬があり、たとえば夜間の蕁麻疹や虫刺されなどでかゆみが強いときはまず手持ちの抗アレルギー薬を内服して楽になれば、当晩に救急受診せずに済みます。


ほかにも持っていれば重宝する薬剤は多いのですが、市販されていない薬剤(処方薬)は副作用や用法など医師の指示に従って内服する必要があり、常備薬として使用するには少し障壁が高いので残念ながら具体的な紹介はできません(したい気持ちはやまやまですが……)。


このように、夜間に何らかの症状で困っても適切な常備薬とセルフケアで自宅療養できる領域は広いです。しかし疾患によってはこれに留まりません。


たとえば尿管結石は、直接重篤になることはないものの、激痛を生じる病気として有名です。一般的な解熱鎮痛薬では軽減できないほど悶絶してしまう痛みを訴える方も多いので、我慢せずに救急受診された方が賢明です。また熱や痛みが生じてかぜかと思いきや、実は肺炎や尿路感染といった抗菌薬が必要な病気の場合もあり、この場合も夜間であっても早期受診が必要です。


でも、受診すべきかどうか、その判断が難しいですよね……。


そこでお役に立てるのがわれわれの救急医療相談だと思っています。一般的な鎮痛薬で我慢できそうな痛みなのか、鎮痛薬だけで様子を見てもいい状態なのか、これらは時として高度な判断を要することがあります。


実際には検査をしてみないとわからないこともありますが、まず私たちがお電話で相談を伺い、受診が必要そうかどうかの指針を立てさせて頂ければと思います。


ウィズコロナ時代の常識として必要な医薬品常備、さらに救急受診すべきか迷った際には当団体にお電話という2段構えで安心なセルフケア環境が整備できることを願い、その一翼を担わせて頂きます。

NPO法人医師につながる救急医療相談

【山梨県救急安心センター事業(#7119)受託団体】 山梨県内で 「すぐに病院に行った方がよいか」 「救急車を呼ぶべきか」、悩んだ時は、 医師につながる救急医療相談へお電話を。

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